ライズエイジア

2004.Jan

■2004年1月号:1/3

Toshiのフィリピンレポート

■スモーキーマウンテン仮設住宅の住民、本住宅への引っ越し始まる。

スモーキーマウンテン仮設住宅は、テンポラリーハウジングと呼ばれていました。それに対して、スモーキーマウンテン跡地に建設された本住宅はパーマネントハウジングと呼ばれています。 このパーマネントハウジングは、 鉄筋5階建てで、1フロアーに18戸、一棟あたり90戸の世帯が入居することになっています。本年3月までに12棟全てが完成し、合計1,080戸の住民がテンポラリーハウジングから引っ越しを行う予定です。

1戸あたりの広さは約6畳程度。その他に各戸ごとにトイレが付いています。天井が高いので、引っ越した住民はそれぞれが勝手に2階を作って、1階を台所と居間、2階を寝室にしています。 各戸にトイレも設置され、テンポラリーハウジングに比較して衛生面では飛躍的に良くなっています。また広さにしてもテンポラリーハウジングよりは広くなっていることもあり、おおむね住民には評判がよいようです。

第1期の引っ越しが昨年の12月7日・8日に行われました。住民は、「鍋窯、家財道具一式」をサイドカー付き自転車に積んで約1キロの道のりを何度か往復していました。

▲写真左:完成したパーマネントハウジング
▲右  :新居での記念撮影、家が大きくなったと大喜び(右の写真はクリックすると拡大します)

仮設住宅の壁板まではがして運ぶ人もいて、埃だらけの引っ越し風景でした。第1期に引っ越した住民は、クリスマスを新しい家で迎えることが出来ると満足そうです。住民が引っ越した後の仮設住宅は廃墟のようでした。第2期は1月。第3期は2月。第4期は3月に引っ越す予定です。当分、埃だらけの民族大移動が続きます。

▲写真左:引っ越し荷物をまとめながらの記念撮影
▲右  :引っ越しが終わり、廃墟のような仮設住宅

■引っ越し後の課題と私たちの取り組み。本住宅に引っ越しできる住民は全体の30%だけ。


▲新しい街には店も並び、活気が出ています

パーマネントハウジングはもちろん、スモーキーマウンテンの住民用に建設された賃貸住宅なので 家賃は相場よりも、だいぶ低めに設定されています。しかし家賃などとは無関係に暮らしてきた住民にとって「安い」とは言えません。家賃は月払いで、1階が1,050ペソ。 2階が750ペソ。3階が550ペソ。4階が450ペソ。5階が350ペソと設定されています。その他に水道代と管理費が月に240ペソ。あとは電気代が徴収されます。

「月々定収入がなければ入居できない」 と仮設住宅住民のあきらめたような発言。 「これからは、ちゃんとした収入を得ないとここ に居られないから頑張らなくっちゃ」と引っ越したばかりの住民のちょっと不安そうな発言。高い失業率が改善されないまま、賃貸住宅に引っ越す住民。失業した場合、職と同時に住居も失うのではと不安になるのも当然です。今後の行政の対応に注意を払わなければなりません。

しかし、もっと問題なのはパーマネントハウジングに引っ越せる住民は、仮設住宅総人口の30%でしかない ことです。収入により住宅格差がでるのは当然としても、仮設住宅住民全体の30%しか入居できないのでは、 8年前の強制移住時に政府が住民にした約束と違います。

前述したとおり、パーマネントハウジングに引っ越せる世帯は1,080戸。しかし仮設住宅で暮らしている 世帯数は3,500戸です。60%以上の住民が引っ越す事が出来ない計算となります。この仮設住宅に残る住民 への対策はどのようになるのでしょうか?再び強制移住が行われるのでしょうか。 現在の計画では、仮設住宅の跡地に、パーマネントハウジングと同様の貧困世帯(スモーキーマウンテン以外の 地域の住民も含む)用住宅が建設されることになっています。

ライズエイジアでは、パーマネントハウジングに引っ越すことの出来ない60%の住民への支援と要望調査。そして行政の対応についての調査も引き続き行います。また、高齢者や障害者などを持ち、高層階での居住が困難な世帯等への配慮が行われているか等の調査も行います。それらの調査をもとに、2004年度の事業計画を立案したいと考えます。

▲写真左:パーマネントハウジングの周辺には、すでに新しいスラムが形成されています。仮設住宅にも住めずにいる人々も沢山居るのが現実です
▲右  :引っ越しが終わった仮設住宅はまさに廃墟のようです。仮設住宅跡地がどのように再利用されるのか、仮設住宅に残る60%の住民はどうなるのか?課題は残されたままです。