ライズエイジア

2004.May

■2004年5月号:1/1

Toshiのフィリピンレポート

■HOLY WEEK(聖週間)

フィリピン共和国の83%の人々がカトリック教を信仰している。カトリック教では、キリストは処刑された3日後に生き返ったことになっている。聖週間とは、キリストの受難から復活までを追体験する行事をいう。

期間は、3月~5月頃の1週間で、どの週かは教会の暦で決められる。フィリピンでは木曜日と金曜日が祝日になっている。日本のお正月と同じように、ほとんどのお店が休みになる。

今年の枝の主日(パームサンデー)は4月4日から始まり、パラスパス(シュロの葉っぱで作ってある)を教会で清めてもらい、家の軒に1年中飾りつけ、厄除けにする。 四旬節(復活の主日前の40日間をレンテン・シーズンという)の初日であるアッシュウエンズデーの日、前年の枝の主日から飾ってあるパラスパスを教会に戻し、焼いてもらう。灰をかぶって罪を悔い改める習慣があるので、その灰をおでこに十字架の形に神父さんにつけてもらう。

このアッシュウエンズデーの日から復活の主日まで、酒やたばこを控え、牛肉や豚肉を食べるところを鳥や魚にしたりなど節制した生活を送りながら、悔い改めの日々を過ごす。特に毎週金曜日は肉を食べないという習慣もある。スモーキーマウンテン仮設住宅内のあちらこちらに用意された、祭壇の前に年配者が集まり、受難をつづった叙事詩「パッション」キリストの生涯を記した本を朗読する「パバーサ」の歌声が響いてくる。

節回しは、ゆったりとしたテンポで、フィリピンらしいおおらかなメロディーで朗読が続く。パッション1冊を朗読するのに24時間かかる。終わったらまた最初から始める。聖土曜日まで交代で、昼夜とおして朗読する。

▲写真:住民が持ち寄ったサント・ニンニョ(キリストの幼い像)が置かれる祭壇の前で「パバーサ」をする住民 (クリックすると拡大します)

聖木曜日、この木曜日にキリストは十字架の刑にされる。この日あたりから、民放は宗教モードに変わり、ミサ、キリスト関係の映画を放映する。

聖金曜日、スモーキーマウンテン仮設住宅内に「パシッ、パシッ」と小刻みに体を打ちつける音が聞こえてくる。上半身裸で顔をTシャツで、覆った男性が、 竹を短冊状にまとめた「むち」で自らの背中をたたきながら歩いている。むち打ち苦行「ペニテンシア」だ。背中に血がしたたっている。キリストが十字架の刑にされた翌日、午後3時にキリストは息絶える。

聖土曜日、喪に服す。

▲写真左 :「ペニテンシア」と呼ばれるむち打ち苦行をしながら行進する
▲中央・右:キリスト役が十字架を背負って祭壇を廻って行く

▲写真:ゴミ捨て場の十字架に架けられたキリスト役はいたわるように下ろされた(各写真クリックで拡大します)

復活の主日、キリストが蘇る。朝4時、まだ真っ暗闇のスモーキーマウンテン仮設住宅に、聖母マリアを模した人形を乗せた「カローサ」(みこし)が繰り出し、 そのカローサを先導するように皆、ローソクを灯して、スモーキーマウンテン本住宅に迎えに行く、スモーキーマウンテン本住宅では、キリストを模した人形を乗せた「カローサ」が、 本住宅を練り歩き、聖母マリアのカローサとスモーキーマウンテン元ゴミの山の隣地で出迎う。キリストと聖母マリアの両カローサは左右に大きくゆれ、砂埃にまみれる。足場が組んである上からエンジェルが聖母マリアがかぶっているベールを取ると、 最高潮に達し大きな拍手がわいた。

スモーキーマウンテンに根を置いて26年になるベン神父に、キリストはどうやって復活したのと尋ねたら、「復活したかとの記録は皆無である。ただ、三日前に葬ったキリストの墓はからであった、とのみ(ルカ書24章1節)書かれている。」と教えてくれた。

▲写真左:キリストを模した人形を乗せた「カローサ」(みこし)
▲中央 :聖母マリアの「カローサ」(みこし)を先導する人々
▲右  :聖母マリアの出迎え。エンジェルが聖母マリアのベールを取る(各写真クリックで拡大します)

スモーキーマウンテン本住宅のミサで「母なる大地の子どもたち」が、舞踊を披露した。

▲写真左:ミサの風景
▲中央 :母なる大地の子どもたちが舞踊を披露する
▲右  :母なる大地の子どもたちの集合写真(各写真クリックで拡大します)

毎年、聖週間の復活の主日の日がスモーキーマウンテンの祭日となる。

住民は朝早くから、ご馳走を作りお客さんをおもてなしする。